保育士宿舎借り上げ支援事業とは?メリットや注意点について

保育士宿舎借り上げ支援事業とは、国や自治体が保育園に対して保育士の住宅費用を補助することで、保育士の人材確保・雇用促進を進める政策です。

全国で1万9,895件も存在する待機児童問題を解消するために打ち出され、多くの保育園で「社宅補助」として活用されています。住宅の家賃や税負担を減らせるなど、保育士側のメリットは大きく、これから保育士として活躍する方に是非知ってもらいたい制度です。

参考:保育所等関連状況取りまとめ/厚生労働省(PDF)

保育士宿舎借り上げ支援事業のメリット

保育士宿舎借り上げ支援事業は、いわゆる「社宅補助」に似た制度です。保育士にとって下記の3点のメリットがあります。

  • 家賃負担を大幅に減らせる
  • 初期費用が免除される
  • 税負担を抑えられる

1. 家賃負担を大幅に減らせる

保育士宿舎借り上げ支援事業は、保育園が新規雇用した保育士のために取得した借り上げ物件に係る費用について、国や自治体が大幅に支援する制度です。

具体的な補助金額・割合は各自治体によって異なるものの、月々の家賃負担を「1割~2割」程度に削減できるケースも多く、自由に使えるお金を大幅に増やすことができます。

社宅補助ありの保育園と、制度適用なしの保育園で働いた場合の違いを表にまとめました。ぜひ参考にしてみてください。(給与20万円・家賃8万円の物件に入居したケースで算出)

制度適用なし 保育士宿舎借り上げ支援事業
給与 20万円 20万円
社宅補助(家賃の9割) 0 7万2000円
家賃 8万円 8万円
実際に使えるお金 12万円 19万2000円

2. 初期費用が免除される

賃貸物件は月々の家賃以外にも、敷金や礼金・仲介手数料等の様々な初期費用の負担を求められます。

ところが保育士宿舎借り上げ支援事業は「保育園(会社)側が物件を取得する社宅制度」に適用される制度のため、保育士側は初期費用を大幅に抑えての入居が可能です。

通常、都市部の賃貸物件へ入居には平均して「20万円~50万円」程度の初期費用を求められます。これだけでも非常に大きなメリットです。

家賃8万円のアパートに入居した場合に係る初期費用を比較してみました。保育士宿舎借り上げ支援事業を利用することで初期費用は大幅に抑えることができますね。

制度適用なし 保育士宿舎借り上げ支援事業
敷金 8万円 園が負担
礼金 8万円 園が負担
仲介手数料 8万円 園が負担
保証会社契約(家賃1ヶ月分) 8万円 園が負担
火災保険(1Kを想定) 1万5000円 園が負担
カギ交換費用 2万円 園が負担
抗菌施工代 1万5000円 園が負担
退去時クリーニング代(先払) 8万円 園が負担
合計費用 45万円 0円

3. 税負担を抑えられる

保育士宿舎借り上げ支援事業による家賃補助は、給与に住宅分の手当を加算する「住宅手当制度」と比べて、税負担を大幅に減らせるメリットを持ちます。

日本の税金や健康保険に係る費用は給与の金額によって計算しますが、”国や自治体が保育園に支援する”保育士宿舎借り上げ支援事業は、保育士の所得には算入しないからです。

一般的に、保育士宿舎借り上げ支援事業で対象物件に入居する場合、借り上げ物件の「貸与」となるため、所得税法が定める「賃貸料相当額」で計算されます。
※2019年12月浦和税務署にて確認

保育士借り上げ支援事業と住宅手当の違い

保育士宿舎借り上げ支援事業と住宅手当の扱いの違いは下記の通りです。

支援対象 給与に参入
保育士宿舎借り上げ支援事業 国が保育園に支給 されない
住宅手当 保育園が保育士に支給 される

では、住宅手当を受給しているケースと、保育士宿舎借り上げ支援事業を利用したケースとを比較してみましょう。

住宅手当 保育士宿舎借り上げ支援事業
給与 20万円 20万円
住宅手当(課税される) 7万2000円 0円
保育士宿舎借り上げ支援事業(課税されない) 0円 7万2000円
課税対象額 27万2000円 20万円

※上表にあてはまらないケースもあります。詳しくは管轄の税務署にてご確認ください。

支援してもらっている金額は同じでも、住宅手当と保育士宿舎借り上げ支援事業では税金を計算する上での所得額に、大きな差が出ることがわかります。

賃貸料相当額と住宅手当の違い

住宅手当の場合、使用人(保育士)が受け取った金額そのままを課税対象として扱います。賃料相当額の計算方法は、「使用人(保育士)」が対象物件の家賃について、どの程度自己負担しているかによって決定されます。

一定額以上の自己負担が生じている場合、「賃料相当額」による課税はありません(つまり、該当する場合は所得税が課税されない)。逆に自己負担が基準より低い場合、あるいは無償の場合は(「賃貸料相当額」により算出した)所得税の課税が発生します。

※2019年12月浦和税務署にて確認

管轄の税務署で確認してみよう

保育士宿舎借り上げ支援事業を利用した場合、住宅手当よりも税負担額が軽減される可能性が高いです。税額の計算は、管轄の税務署で確認してみましょう。

保育士宿舎借り上げ支援事業の注意点

保育士にとってメリットだらけの保育士宿舎借り上げ支援事業ですが、一部注意しないといけない点もあります。

大きく分けて下記の3点に分類されるので、順番に確認してみましょう。

  • 物件を自由に選べない
  • 制度変更の可能性
  • 対象外の園関係者も

1. 物件を自由に選べない

保育士宿舎借り上げ支援事業は基本的に、保育士が入居物件を自由に選ぶことはできません。この制度は国が保育士に直接お金を支給するものではなく、保育園が保育士のために社宅として借り上げた物件に対して支給する制度だからです。

費用負担を大幅に減らせる点は嬉しいですが、自分で好きな立地・間取りを選びたい方には向かない制度かもしれません。

2. 制度変更の可能性

保育士宿舎借り上げ支援事業は今後、制度変更の可能性がある制度です。いきなり廃止決定は無さそうですが、今後国や自治体が負担する金額を減らす可能性は十分に考えられます。

3. 対象外の園関係者も

保育士宿舎借り上げ支援事業は、保育園関係者ならだれでも適用されるということではありません。

園の経営に関わる役員や施設長などに関しては対象外としている自治体も少なくないのが実情です。また単身者以外も制度を適用することはできますが、同居人が住宅手当を受けている場合などは、適用対象外と判断されやすいでしょう。

最後に

保育士にとってメリットの多い「保育士宿舎借り上げ支援事業」を導入している施設は増加してきています。ぜひお早めに転職を検討してみてはいかがでしょうか。

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