保育士の働き方改革「同一労働同一賃金」について

働き方改革の影響で、保育士の現場が良い方向へ変化しつつあります。「同一賃金同一労働」のように雇用形態に左右されない労働ができるようになり始めただけでなく、ICT化により業務効率の推進など、大手保育園を中心に過酷な労働環境が改善されつつあります。

ここでは、保育士と働き方改革の関係について確認していきましょう。

保育士業界における働き方改革の状況

大手保育園を中心に、保育士の働き方に変化が出てきています。労働条件や業務内容など、働き方改革の影響を確認していきましょう。

同一労働同一賃金で正規と非正規の差がなくなってきている

正社員と非正社員の格差が減りつつあります。保育園によっては、時短正社員制度を導入しています。勤務時間が短いものの、正社員なので園長に出世する可能性もあるようです。また、夜間や早朝業務のために勤務時間最短2時間のアルバイトを採用することで、働き方に多様性を出す保育園もあります。

ICT化で保育士の業務負担を削減

保育園の業務を「ICT(Information and Communication Technology)化」することで、負担を減らすことが注目されています。

保育園の業務は手書きや手作りを尊重する文化があるため、日誌などの記録をデジタル化するケースがあまり多くありませんでした。しかしその一方で、業務時間が長いことから手書きする時間が確保できず、午後の園児達の様子を記録できないといった問題も存在しています。

働き方改革の影響を受け、保育園のICT化を支援するサービスが増えてきました。例えば「コドモン」というサービスでは、PCやタブレットなどの機材を活用することで、指導計画やクラス日誌、検温・排便チェック、給食チェック、などの情報をデータ化および共有ができるようになります。

ICTを導入した結果として業務が効率化でき、職場によっては残業と持ち帰りをなくしたというケースが出ています。

その他(処遇改善の事例など)

内閣府は、保育士の処遇改善のために消費税財源を活用すると発表しています。また、2019年10月10日には「令和元年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査(速報)」にて、保育士の給与月額(全体状況)は私立と公立どちらも約30万円と発表されました。今後の処遇改善が期待されています。

保育業界で働き方改革が進められる背景

2つの状況が後押しすることで、保育業界での働き方改革が促進されています。

保育分野での人手不足

1つは、深刻な人手不足です。平成27年に厚生労働省が発表した「保育士等に関する関係資料」によると、保育所保育士の離職者(常勤のみ)は、10.3%となっています。公営は7.1%ですが、私営では12.0%です。また、保育所保育士の経験年数(常勤のみ)が7年以下の保育士で約50%を占めていることから、熟練した人材の不足が数値で明らかになっています。

待機児童問題

2つ目の課題は、待機児童問題です。厚生労働省の発表によると、待機児童数は約1万6千人となっており、前年比で3,123人の減少を見せながらも依然として解決に至ったとは言えないでしょう。内閣府は企業主導型保育事業を打ち出し、運営企業が助成を受けやすくするなどして保育園の数および受け入れ枠の増加をサポートしています。

〈参照〉保育所等関連状況取りまとめ(平成31年4月1日)及び「子育て安心プラン」集計結果を公表/厚生労働省

働き方改革を進めることで、合理的な運営を行うだけでなく、運営者が少人数であることが原因の過酷な労働環境の是正を狙います。

保育士の転職がおすすめな理由

働き方改革により、労働環境が改善されつつある現在、保育士は転職を有利に進めることができます。また、市場の変化だけでなく、雇用形態の選択という自由も手に入れやすい状況です。

売り手市場

現在の保育士求職は、転職者にとって有利な売り手市場です。

内閣府の発表資料などからも明らかなように、保育士が不足しています。また、労働力不足に反して、保育園への入園を希望する児童の数はなくなっていません。保育園が働き手を求めざるを得ないため、転職者は有利に求人へ応募することがでます。

自分自身に合った働き方を選択しやすい

求められている人材は正社員だけではありません。人手が不足しがちな早朝や夕方以降など、特定の時間だけ働くパートタイムの社員を求めている保育園もあります。

また、状況に応じて、時短勤務の社員を募る保育園も出てきています。子育てや介護など、ご自身の家庭環境に合わせた働き方を選びやすい状況です。

働き方改革が進んでいる施設への転職で負担軽減

現在働いている保育園や過去の職場での過酷な労働がトラウマになっている場合、労働負担が少ない保育園を選ぶということもできるでしょう。

働き方改革によりICTシステムを導入している保育園が出てきています。ICT企業が紹介する導入事例のなかには、業務の一部をデジタル化することで、労働環境を改善できたという報告もあります。

〈参照〉コドモン導入園紹介vol.01くっくおさんぽ保育園/CODMON

潜在保育士にとっても有利な状況

保育士資格を持っているが保育士として働いていない「潜在保育士」においても有利な転職をするチャンスです。

厚生労働省が行った「潜在保育士の実態について〜全国潜在保育士調査結果〜」では、潜在保育士の約99%が女性とされています。また、就労しない理由については「求人しているが条件に合う求人がない」という声が約30%です。多くの潜在保育士が悩むこの問題は、働き方改革により是正されることが期待できます。

潜在保育士の復職に助成が行われている

潜在保育士には貸付金制度が用意されています。

「潜在保育士就職準備金貸付制度」では、就職支援を目的に資金を貸し付けています。地域ごとに内容は異なりますが、例えば川崎市では無利子で上限額20万円、2年間以上保育士業務に従事すると返還債務が全額免除となります。

〈参照〉保育士就職準備金貸付について/川崎市

高待遇で迎えられる可能性が高い

転職がしやすい売り手市場が続いています。即座にこの状況が変化するとはいえません。そのため、労働条件の交渉がしやすく、有利な状況で就労先を見つけやすい期間が続くと考えられます。保育士としての転職を考えている場合は、良い待遇で就労する好機です。

そもそも「働き方改革」とは

「働き方改革」とは、日本が抱える課題を解決することを目指すものです。「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」といった、日本が直面している労働環境の課題があるなか、働く人々がより良い将来の展望を持てるようにすることを目指します。

働き方改革には、「残業時間規制」「同一労働同一賃金」「高度プロフェッショナル制度の導入」という3つの柱があるとされています。

残業時間規制

時間外労働の上限規制が導入されます。

「労働時間は一日8時間、週40時間」と労働基準法に定められており、超過した労働については残業と扱い、残業代が支払われます。ですが、これまでの日本では、残業時間に関する法律の制限はありませんでした。

働き方改革により、「残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間」とされ、臨時的な特別の事情がある場合をのぞき「いかなる状況においても、月100時間、年間平均80時間の労働時間を超えてはならない」と規制されます。施行は、大企業が2019年4月から、中小企業が2020年4月からです。

同一労働同一賃金

正社員とアルバイトなどの雇用形態による待遇差の解消を目指すものです。企業内で、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の雇用形態による格差をなくすことで、働き方を自由に選択できることを目指します。厚生労働省では、待遇による不合理な格差とそうでない格差を見分けるために「同一労働同一賃金ガイドライン」を公開しています。

高度プロフェッショナル制度の導入

高度の専門的知識を持つ人に対して、労働時間ではなく成果物に応じた給与を支払う制度です。「脱時間給制度」とも呼ばれます。すべての労働者に適用できるわけではなく、職務の範囲が明確で一定の年収要件を満たす労働者が対象です。

また、「労使委員会の決議及び労働者本人の同意を前提」や「年間104日以上の休日確保措置や健康管理時間の状況に応じた健康・福祉確保措置等を講ずる」などいくつかの条件も提示されています。

まとめ

保育士としての転職を検討しているのであれば、働き方改革が進められている今がチャンスかもしれません。特に現状の雇用形態や労働条件に不満がある場合、いくつかの保育園を比べてみることで、ご自身に最適な職場を見つけることができます。

また、現役の保育士だけでなく、今は保育士として働いていない潜在保育士にも条件に合った求人を見つけやすい状況です。市場の流れを利用して、最適な職場を見つけましょう。

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